本を読むことは、呼吸やまばたきをするのと同じく、ほとんど無意識のうちにしている行為なので、その意義は何か、と問われたなら、そうしなければ生きてゆけないからだ、と答えるほかない。
 「活字ばなれ」「活字文化の衰退」がしきりに言われているけれど、本学図書館(8号館)の地下書庫にある「近代文庫」の本の数々を眺めれば、その目も眩むほどに並んだ書物の前に、「衰退」などという言葉は微塵に砕け散ってしまう。
 「衰退」しているのは、あくまでも現在の活字文化であって、かつては決してそうでは無かったし、これだけのものがあれば充分、という気さえするほどの圧倒的な書物が居並んでいるからだ。
 「人間の知識は、誰かに読まれて機能を示すまえに、まずダムの水のように蓄積されることで、エネルギーを作るものなのである。」(山崎正和『「厭書家」の本棚』潮出版社、2015,4)との言葉を実感することができる稀有の場所、「聖地」といってよい空間が、みなさんの毎日通う大学の中に存在している。
 だとしたら、それを知らずに四年間を過ごすのは、あまりにも哀しい。
 わたしたちが挙げた本は、その書物の宝の庫を開けるための小さな鍵の一つにすぎないのである。

昭和女子大学図書館長
昭和女子大学日本語日本文学科
吉 田 昌 志





▼須永哲矢准教授(日本語学)の推薦図書

受験生向け 1・2年生むけ
3・4年生向け
野田尚史『はじめての人の日本語文法』くろしお出版 1991

言語学としての「日本語」を考えるための入門書。
宮地裕、北原保雄、渡辺実、山口佳紀、川端善明ほか『岩波講座日本語6文法Ⅰ』 岩波書店 1976

古典。さまざまなことを考える出発点を深めるために。
森繁敏『日本文法の諸問題』 笠間書院 1971

読みにくい、古い本だが、考えさせられることが多い。

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▼嶺田明美准教授(日本語学)の推薦図書

受験生向け 1・2年生むけ
3・4年生向け
牧野成一『日本語を翻訳するということ 失われるもの、残るもの』中公新書 2018

日本語を英語に翻訳してみると、日本語らしさが分かります。
川原繁人『音とことばのふしぎな世界 メイド声から英語の達人まで』岩波書店 2015

日本語の音声を観察すると、他の学問にもつながります。
酒井邦嘉『言語の脳科学 脳はどのようにことばを生みだすか』中公新書 2002

文系領域:言語の「なぜ?」に、理系領域:脳科学から答えを導いてくれます。

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▼植松容子准教授(日本語教育)の推薦図書

受験生向け 1・2年生むけ
3・4年生向け
森田良行『外国人の誤用から分かる日本語の問題』明治書院 2005

日本語学習者の誤用を鏡として日本語の仕組みを紐解いていきます。
中根千枝『タテ社会の人間関係—単一社会の理論』講談社現代新書 1967

なぜ文化によって考え方や行動が異なるのか?社会の構造から読み解いていきます。
江田すみれ、堀恵子『習ったはずなのに使えない文法』くろしお出版 2017

学習したのに使えない。その原因はどこにあるのか?を考えるきっかけになります。

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▼大場美和子准教授(日本語教育)の推薦図書

受験生向け 1・2年生むけ
3・4年生向け
八代京子・世良時子『日本語教師のための異文化理解とコミュニケーションスキル』三修社 2010

日本語教師が遭遇する異文化間コミュニケーションの具体例が紹介されています。
森篤嗣(編著)・太田陽子・奥野由紀子・小口悠紀子・嶋ちはる・中石ゆうこ・ 栁田直美(著)『超基礎・日本語教育』くろしお出版 2019

日本語教育という仕事とそのおもしろさが具体的例とともに説明されています。
中井陽子(編著)・大場美和子・寅丸真澄・増田将伸・宮﨑七湖・尹智鉉(著) 『文献・インタビュー調査から学ぶ会話データ分析の広がりと軌跡-研究から実践まで-』 ナカニシヤ出版 2017

会話データ分析の変遷と「研究と実践の連携」の具体例が紹介されています。

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▼西川寿美教授(日本語教育)の推薦図書

受験生向け 1・2年生むけ
3・4年生向け
温又柔『台湾生まれ日本語育ち』白水社 2016

二つの言語の間で成長することは子どもにとって容易いことではないけれど、豊かな心の襞をつくるのだとあらためて感じます。
新井紀子『AI vs.教科書が読めない子どもたち』東洋経済新報社 2018

「ロボットは東大に入れるか」プロジェクトのディレクターが書きました。読解力の大切さがわかります。がんばれ!日文生
渋谷勝巳・簡月真『旅するニホンゴ 異言語との出会いが変えたもの』岩波書店 2013

海外に渡った日本語は、さまざまな言語に出会い、姿を変えていきました。

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▼横山紀子教授(日本語教育)の推薦図書

受験生向け 1・2年生むけ
3・4年生向け
白井恭弘『外国語学習に成功する人、しない人ー第二言語習得論への招待』岩波科学ライブラリー 2004

外国語の達人になりたい人、この本を読んでみませんか?

林真理子『20代に読みたい名作』文芸春秋 2002

この中からあなたの読みたい小説が必ず見つかります。
白井恭弘『ことばの力学ー応用言語学への招待』岩波新書 2013

日文で「日本語」と向き合うことに決めたあなたに、この本はもっと多角的に言語を見る視点を与えてくれます。
今井むつみ『学びとは何か―<探求人>になるために』岩波新書

学ぶ力の大切さに気づいたあなたに、この本は学びのからくりを教えてくれます。

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▼近藤彩教授(日本語教育)の推薦図書

受験生向け 1・2年生むけ
3・4年生向け
鈴木孝夫『日本語と外国語』岩波書店 1990

六色の虹など、興味深い例に触れながら、日本語の特徴や国による文化の違いに気づかせてくれる一冊です。
外山滋比古『思考の整理学』筑摩書房 1986

知識を得るだけでなく、考えることの楽しさ、自ら学ぶことの大切さがわかりやすく書かれています。大学生活をどう過ごすか、この本を読みながら考えてほしいと思います。
三浦しをん『舟を編む』光文社 2011

わたしたちの身近にある辞書はどのように作れられているのか、熱意と努力と探求心と時代性と――。辞書づくりの世界に触れることができる一冊です。

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▼烏谷知子教授(上代文学)の推薦図書

受験生向け 1・2年生むけ
3・4年生向け
阪下圭八 『日本神話入門―『古事記』をよむ』岩波ジュニア新書 2003

はじめて日本神話に親しむ方に、神話や説話の読みどころが記されています。
坂本勝 『古事記の読み方ー八百万の神の物語―』岩波新書 2003

古事記の神々が織りなす天の石屋戸、八俣大蛇神話などの意味がわかります。
松本直樹『神話で読みとく古代日本―古事記・日本書紀・風土記』ちくま新書 2016

古事記や日本書紀、風土記を合わせて読むことで、古代の面白さが味わえます。

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▼胡秀敏教授(中古文学)の推薦図書

受験生向け 1・2年生むけ
3・4年生向け
川村裕子『王朝文学入門』角川選書 2011

王朝文学の全体像を分かりやすく解説し、それぞれの作品を理解するための「楽しい王朝文化ミニ辞典」が付く。
渡部泰明『和歌のルール』笠間書院 2014

これだけ知っていれば、和歌の魅力が分かり、面白く鑑賞できるようになる。
五味文彦『『枕草子』の歴史学』朝日選書 2014

『枕草子』の時代に育まれ、継承された日本人の繊細な感覚を鮮やかに解説する。

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▼山本晶子教授(中世文学)の推薦図書

受験生向け 1・2年生むけ
3・4年生向け
錦仁編『日本人はなぜ、五七五七七の歌を愛してきたのか』笠間書院 2016

正にタイトル通り、古代から続く31文字というかたちを考える。
網野 善彦著『日本の歴史をよみなおす (全) 』ちくま学芸文庫 2017

日本の中世史を学ぶならば、ぜひ手に取ってほしい一冊。
佐竹昭広著『下剋上の文学』ちくま学芸文庫 1993

お伽草子や狂言の中に潜む下剋上のエネルギーを、ことばから解き明かす。

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▼笛木美佳准教授(近代文学)の推薦図書

受験生向け 1・2年生むけ
3・4年生向け
マーギー・プロイス 金原瑞人訳『ジョン万次郎 海を渡ったサムライ魂』集英社文庫 2018

広い世界に思い切って飛び込もう!ボストン留学で必ず触れる偉人です。  
遠藤周作『女の一生 一部・キクの場合』『女の一生 二部・サチ子の場合』新潮文庫 1986

全力で人を愛すること、人と関わることのすばらしさを教えてくれる本です。
カズオ・イシグロ『日の名残り』ハヤカワepi文庫 2001

時を経て振り返ってみたときのやわらかな輝きを味わえる、大人の一冊です。

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▼山田夏樹講師(近現代文学・日本文学史(近代))の推薦図書

受験生向け 1・2年生むけ
3・4年生向け
宮川健郎『物語もっと深読み教室』岩波ジュニア新書 2013

文学を鑑賞することの楽しさ。そこに気づくと視点が広がる。
小平麻衣子『小説は、わかってくればおもしろいー文学研究の基本15講』 慶應義塾大学出版会 2013

小説を読む際、何に注目するのか。作品を読むことで、自分を読むことに。
前田愛『幻景の街―文学の都市を歩く』岩波現代文庫 2006

本を読んだら、町に出よう。そこには思わぬ発見が。

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▼吉田昌志教授(近代文学)の推薦図書

受験生向け 1・2年生むけ
3・4年生向け
北村 薫『太宰治の辞書』創元推理文庫 2017

自ら命を絶った芥川、太宰、三島の「謎」を解く「私」。文学史の勉強にもなります。

吉田昌志編『鏡花随筆集』岩波文庫 2013

作品は織物=テキスト。小説戯曲が鏡花世界の経(たていと)ならば、随筆はその緯(よこいと)である。
『ミュシャ ARTBOX 波乱の生涯と芸術』講談社 2011

アール・ヌーヴォーの「華」ミュシャの描く鮮麗優美な曲線の世界を観て愉しむ画集。
中島京子『夢みる帝国図書館』文藝春秋 2015

明治大正昭和を生きた図書館が主人公の物語。本も図書館も命をもった生き物なのだ。

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▼福田委千代准教授(児童文学)の推薦図書

受験生向け 1・2年生むけ
3・4年生向け
脇明子『読む力は生きる力』岩波書店 2005

「人はパンのみにて生くるに非ず」と言いますが、「読む」こともまた人を生かしてきた大きな力だと、私も思います。
リリアン・H・スミス『児童文学論』岩波現代文庫 2016

「将来児童文学を専攻したいなぁ」と思っている方、「タダの読者」から「目覚めたる読者」に転身(!)したい方に。
講談社文芸文庫編『日本の童話名作選』(明治・大正篇/昭和編/戦後篇/現代篇)講談社文芸文庫 2005

主にゼミのみなさんへ。児童文学研究のために読めば確実に役立つシリーズだと思います。

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▼市川清史准教授(中国文学)の推薦図書

受験生向け 1・2年生むけ
3・4年生向け
奥野信太郎、村松暎編『中国文学十二話』NHKブックス 1968

中国文学の各分野がとてもわかりやすく面白く書かれています。
川合康三『杜甫』岩波新書 2012

杜甫の生涯を追いながら、その文学を理解することができます。
川合康三『白楽天 : 官と隠のはざまで』岩波新書 2010

長恨歌で知られ、日本文学にも大きな影響を与えた詩人です。日本の古典を学ぶ人にはとても 参考になると思います。

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▼丹下暖子専任講師(中古・中世文学)の推薦図書

受験生向け 1・2年生むけ
3・4年生向け
谷知子『古典のすすめ』角川選書 2017

古典のもつ普遍的な魅力に気づかせてくれる一冊。
渡部泰明『和歌とは何か』岩波新書 2009

和歌が苦手な人にこそ読んでほしい一冊。
鈴木健一『古典注釈入門―歴史と技法』岩波現代全書 2014

古典を読むとはどういうことか、考えるための一冊。

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▼青木幸子准教授(教育学)の推薦図書

受験生向け 1・2年生むけ
3・4年生向け
ちくま評論選『高校生のための現代思想エッセンス』筑摩書房 2007

社会の今に気づく一冊。
細川英雄『対話をデザインする』ちくま新書 筑摩書房 2019

私をみつめるための言葉の力を。
高階秀爾『日本人にとって美しさとは何か』筑摩書房 2015

日本人の美意識を文化からアプローチ。

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▼田中均准教授(図書館学)の推薦図書

受験生向け 1・2年生むけ
3・4年生向け
菅谷 明子(著) 『未来をつくる図書館―ニューヨークからの報告―』 岩波書店 2003

年間来館者1700万人超の観光スポットとしても有名、公共図書館なのに設置主体は民間のNPOという巨大図書館の現地調査レポート。
アレックス・ジョンソン (著)、北川 玲(訳)『世界の不思議な図書館』創元社 2016

手漕ぎボートや電話ボックス、地下鉄型図書館など私たちが知っている図書館のイメージが一新されます。
薬師院仁志, 薬師院はるみ (共著)『公共図書館が消滅する日』牧野出版 2020

戦後の日本の公共図書館の発展をたどり、常識にとらわれずに図書館の有るべき姿を論じています。

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▼池田美千絵助教(図書館学)の推薦図書

受験生向け 1・2年生むけ
3・4年生向け
マーガレット・ワイルド『この本をかくして』岩崎書店 2017

本の大切さを知ることができます。絵も装丁も素敵です。
菅谷明子『未来をつくる図書館:ニューヨークからの報告』岩波新書 2003

「もし図書館がなかったら今の自分はなかった。」ということばが印象的です。
デイヴィッド・フィッシュマン『ナチスから図書館を守った人たち:囚われの司書、詩人、学者の闘い』原書房 2019

服の下に隠し守り通りしたものは、食料でもなく宝石でもなく、本でした。

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